デザイナーのメモ帳
2024-04-21
「TDC展2024」の記録
午後有休アート巡り第2弾✨
「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」で開催中のTDC展へ行ってきました!
天気がとにかく良くて銀座の街を歩くのがとっても爽快でした!
フライヤーのビジュアルが素敵・・・
トップクラスのクリエイティブに刺激されまくりの時間でした。
今日はその中でも特に気になった3作品について、感想と考察をまとめてみます。
公式の案内はこちらです!
memo
- 展示会名 : 「TDC展2024」
- 会場 : ginza graphic gallery
- 行った日 : 2024.04.15
- 料金 : 無料
「Vogue Brasil Sans & Serif」 Studio DRAMA
詳細
https://tokyotypedirectorsclub.org/en/award/2024_type/作品
このタイプデザインはイギリスのStudio DRAMAが制作したもので、ブラジルの雑誌「Vogue Brasil」が2022年にデザインの刷新をおこなったことに合わせて、紙面の見出しデザインとして制作されたそうです。
サンセリフ体とセリフ体があり、ポルトガル語の大文字と数字、そして括弧等の記号が収録されています。
セリフ体にはしなやかさと繊細さを感じました。
ヘアラインセリフではありますがセリフの部分が尖りすぎず、少し丸みを帯びているためスタイリッシュさの中に優しさを感じます。
個人的にGとK、記号の括弧たちが好きです!Gの曲げた部分、そしてKの下がる部分の動きに、このフォントの特徴が現れている気がします。
また、括弧などもデザイン性があり、雑誌の見出しということだから一つひとつが個性的ですよね。
一見BodoniやTimesのような印象を受けますが、それらよりもずっと長体で華奢なイメージが強かったです。
一方サンセリフ体ですが、セリフ体よりも個性を出しすぎず、汎用性が高そうなイメージを持ちました。
第一印象はOswaldやDinのような長体のフォントですが、見比べると長体具合が全く違いました。
UやSなどを見ればわかりやすいと思います。
長体の形に、このタイプデザインの個性が詰め込まれていると思いませんか?
セリフ体よりも動きは少ないですが、線の太さや角から無機質な感じはなく、サンセリフ体ならではの温かみと可愛さを感じます。
一言でいうならセリフ体は「オシャレ」、サンセリフ体は「可愛い」というイメージです!
雑誌の見出しに用いられるタイプデザインであるからか、数字も読みやすく、長体によってすっきりとした印象を持ちました!
「The New Swiss Passport」 Carl Guilhon & Guillaume Peitrequin
詳細
https://tokyotypedirectorsclub.org/news/tdc2024-results/作品
これは2022年の秋に発行されたスイスのパスポートです。
一見シンプルなスイスのパスポートという感じですが、ページの各所にスイスの象徴である水資源や自然、山脈がデザインとして取り入れられていて、さらにUVライトに対応した複製防止の機能が充実しているんです!
ページを開くと芸術作品のようなスイスの山脈や水路のイラストが広がっていて、実際に制作者の1人はインタビューで「水路に沿った想像を超える旅を構想し、アルプスの山々から渓谷を下って26 の州を通って世界へと流れる水の流れをたどる。パスポートは旅への招待状である。」と語っていました。
制作過程のインタビューはこちらから!
スイスの象徴である水路や山脈が、スイスの人々を世界へと誘っているというストーリーを感じることができました。
また、UVライトを用いた複製防止の機能についてですが、このパスポートにUVライトを当てると見えなかった等高線(=地図上で同じ高さの地点を連ねて描いた線のこと)が出現して、それぞれの州にある文化遺産やランドマークなども現れるんです!こだわってる・・・👏🏻🇨🇭🤍
ページの中身までデザインにこだわっているので、最初見たときは旅先でスタンプを押されるのが勿体無いと感じたのですが、最近は自動化ゲートが導入された国が多いのでその心配もなさそうですね。
このパスポートはパスポートとしてのセキュリティ対策はもちろんのこと、各国のスタンプを押されないことを前提にデザイン性にかなり寄って制作されたと考えられます。
このように凝ったデザインがスイスの人々の旅の意欲や愛国心を高め、複製防止の機能とデザイン性が両立されていることで安心してパスポートを保有できると感じました。
「光岡幸一展 『ぶっちぎりのゼッテー120%』フライヤー」 牧寿次
詳細
http://rcc.recruit.co.jp/gg/exhibition/gg_sec_ph_2302/gg_sec_ph_2302.html作品
これを見た時自分の中の広告の概念を壊されたようで衝撃を受けました・・・!!
こんな表現もありなんだとワクワクしました。
中央は切り抜かれていて縁だけにデザインがされていますね。
これはアーティストさんの展示会フライヤーであるため、「額縁」をイメージしたデザインであると考えました(違っていたらごめんなさい)。
珍しいデザインなので通常のフライヤーよりも多くの人の目に留まるから恰好の宣伝手法ですよね!
もしかするとこのフライヤーの置き方も、ただ台やテーブルに置くのではなくて何かに引っ掛けて置くこともできるかもしれないですよね。
何はともあれ、衝撃を受けたフライヤーでした。
次はアドミュージアム東京の「世界のクリエイティブがやってきた」に行ってみたいと思います!