デザイナーのメモ帳
2024-03-20
東京藝術大学卒展の記録
私には自慢の幼なじみがいます。
保育園のときから絵が上手で、今年東京藝術大学の院を卒業する幼なじみです。
そんな幼なじみや藝大生の方々の作品が見たく、藝大の卒展に足を運んできました!
memo
- 展示会名 : 「第72回東京藝術大学 卒業・修了作品展」
- 公式 : https://diploma-works.geidai.ac.jp/2023/
- 会場 : 東京藝術大学・東京都美術館
- 行った日 : 2024.01.28
- 料金 : 無料
もうとにかくみなさんの作品が良すぎて感想をすべて語りたいんですが、特に印象に残った2作品をまとめておきます!
「木星の街」 今井 健二郎さん-デザイン[修士]
作者について
https://diploma-works.geidai.ac.jp/2023/catalogue/design/imai_kenjiro.html作品
こちらは制作者が私の幼なじみなので、本人から実際に作品の解説をしてもらいました!(ありがとう✨)
彼は2022年から1年間イタリア・ローマに留学をしたため、ローマで得たインスピレーションをもとに粘土で「木星の街」という作品を制作したそうです。
現地には石や遺跡が多いため素材は粘土にし、異国の未知さ偉大さを木星というモチーフで再現したといいます。
「木星」というはるか遠い存在自体を、イタリアの地と重ね合わせたとのことでした。
それぞれの形にも意味があり、ローマの裁判所や門、ステンドグラスの光などを表現していて、鑑賞していて私も「これはイタリアのチーズをモチーフにしているのかな?」など想像を膨らませて楽しむことができました。
マーブル模様の色合いも、何度も試行を重ねたそうです。
硬さのある素材と明るい色合いがマッチした、とっても好きな作品です!
「kukka — 日々の花」 櫻井 碧巴さん-デザイン[学部]
作者について
https://diploma-works.geidai.ac.jp/2023/catalogue/design/sakurai_aoba.html作品
最初に見た瞬間、もう素敵すぎて感動しました。
説明書きを拝見したところ、花(フィンランド語=”kukka”)をモチーフにしたのは、生命の儚さと美しさを、多種多様な絶滅危惧種の花々で表現したということでした。
また、刺繍として1針ずつ縫っていくことで時間の蓄積を形にしているという発想がすごく好きです。
ご本人がフィンランドをはじめとした北欧の国々を旅されたそうです。
見た目の美しさはもちろん、ご本人が体験した北欧の日々を、刺繍という手法で形に落とし込んでいるその発想力に感動しました!
これは私の考察にすぎないのですが、刺繍や椅子など全体的に青系を基調にしているのは、櫻井さんが訪れた北欧の国々の国旗やローカル企業で青色が使われていることが多いことや、北欧では湖で大切な人と過ごすことが多いこと、また、この作品の一つのテーマでもある「生命」というキーワードが青をイメージされることが多い、ということが理由として考えられるのかな?と思いました。
そして上で載せている写真のような空間の中央には刺繍の花が縫われた椅子が置いてあり、そのそばには今回の展示で制作された刺繍の花々が、図録に収録されていました。
これは鑑賞する人が主役となって花々の世界に入って図録で一つひとつの花の詩集を鑑賞することで、「命のつながり」「再生」「時間の蓄積」を意味するこれら刺繍の花々と自分が一対一で向き合えるので、
自分の人生や大切なものについて考える時間を作ってもらう・・・
・・・ということが櫻井さんの考えなのかな?と、極めて勝手に制作の意図に思いを馳せました。
(見当違いな考察だったらごめんなさい!)
今回は展示ということもあり、もちろん空間に入ることは禁止されていましたが、あまりに素敵な花々の空間に、圧倒されてずっと見ていました。
本当に素敵でした。
脳に汗をかきまくった2時間強
すべての作品に対して感じたのは、「私だったらそんな発想できない!」ということです。
ローマで受けたインスピレーションを木星の街として再現する、北欧の花々や生命、紡ぐ時間を「刺繍」で表現する・・・
自身の頭の中を、常識にとらわれない方法で「見えるもの」として生み出していることに、本当に感動しました。
この卒展は、美術やアートに興味がある親友と一緒に行ったのですが、
2時間ちょっとの鑑賞後、(すごく良い意味で)どっと脳みそが疲れた感覚が押し寄せました。
本当に素晴らしい作品の数々でした・・・
今回は超長文になってしまうので2作品に留めましたが、あれほど深く、素晴らしい作品を生み出す皆さま尊敬です。
とっても勉強になりました!